親戚に「TVでYouTubeが見られるようにしてくれ」と言われ、施工の前に実地でFire TVを試すことに。
その際、Echoシリーズのオススメを見て、「ついでに音声コントロールも試してみるか」と思い立って、色々やってみた。
そこから転じて、事務所のスマートオフィス化にも挑戦。
必要なもの
まずは最低限必要なもの。
- WiFi
- デバイスは基本的にWiFiで繋ぐので、必須。デバイスによって2.4Ghz帯、5Ghz帯のどちらかにしか対応してないことがあるので、両方に対応している必要がある。
- メールアドレス
- 各種クラウドサービスの利用に必要。
- Android or iOSデバイス
- デバイスの設定に必要なアプリをインストールする。スマートフォンでもタブレットでも良い。PCでは代替できないので要注意。
- Amazonアカウント
- Alexaの運用に必要。といってもAmazonから買ってる時点で大抵持っているはず。
- Echoデバイス
- ディスプレイの有無、スピーカーのグレードなどで様々な種類がある。音声コントロールの都合上、使用するところから声の届くところにそれぞれ配置する必要がある。
これに加えて、ハブあるいはコントローラの類が必要になる。
というのも、実はAlexa単体でコントロールできるデバイスはごく僅かで、家電などをコントロールするには、ハブあるいはコントローラの類を介する必要があるのだ。ハブやコントローラはAlexaに「スキル」あるいは「カスタムスキル」と呼ばれるモジュールをインストールすることで音声コントロールなどの連携が可能になる。
今回はLiveSmart LS2 Miniと、Switchbot Hub Plusを試してみた。
対象に合わせたIoTデバイスの選択
さて、Alexaで音声コントロールするとして、何を使えばできるようになるのか。
ネイティブ対応している家電などあればいいが、現時点では探す方が難しい。
そこで、操作対象に合わせたIoTデバイスを割り当てる必要がある。
- WiFi
- Alexaに対応していれば、提供されているスキル/カスタムスキルの組み込みと設定で利用できる。次に挙げる各デバイスは、それ自体が対応デバイスでもある。
- IR
- 赤外線リモコンによる制御にはLiveSmart LS2 Mini、SwitchBot Hub Plusなどのコントローラまたはハブを利用する。これらは学習型リモコンを兼ねており、大抵のリモコン操作に対応することができる。(使用例:赤外線リモコンで操作するシーリングライトやAV機器など)
- スマートプラグ
- 電源プラグにWiFiによるOn/Off制御機能を付加したもの。(使用例:スイッチを持たない、あるいは入れっぱなしの機器)
- 物理
- ボタン、スイッチの類を「直接押す」ことで操作するSwitchBotというデバイスを使用。ただし、音声コントロールに対応させるためには、追加でSwitchBot Hub(Plus)が必要。(使用例:壁面スイッチ、機器の操作ボタンそのもの)
- サービス
- ソフトウェア的にサービスを使用する。IFTTT(if this, then that イフトと読む)など。(使用例:メール、メッセージ等)
構築例:居室
一般家庭そのものであるマイルーム。
ここではTV(BDレコーダ)とシーリングライトをLiveSmart LS2 Miniを介して制御。
今時の家電は大抵赤外線リモコンが付いているので、これで制御できると思う。
旧式エアコンのリモコン学習がうまくいかなかったが、細かい制御をする予定がない(ほぼ夏の間点けっぱなしにしている)ので問題はない。買い替えたら改めて設定しよう。
LS2 Miniには温度/照度センサとAIが搭載されていて、照明、空調の自律制御が行えるとあるが、ウチでは使い途がなかった。
寝床から音声だけで照明が切れるだけでもかなり便利。
構築例:事務所フロア
元は喫茶店が入っていたフロアを転用したマイ事務所。
元が店舗なので、造りが居住用とは微妙に異なる。
その最たるものが照明のスイッチで、フロア奥の厨房(工作室に転用)に集中されているのだ。このため、照明を切ると真っ暗な中を出口に戻らねばならないし、夜には真っ暗な中を探りながら照明を入れに行かなければならない。
これを解決するのがSwitchBot(+ SwitchBot Hub Plus)。
半世紀近く前の壁面スイッチも、力業でスマート化してしまえるのだ。
SwitchBot Hub Plusは赤外線リモコン機能も備えているので、エアコンもこれで制御。
また、何系統もある照明のうち、コンセント直結型のものにTP-Linkスマートプラグを取り付けて制御。
特別編:WoL
WoL(Wake on LAN)でPCの電源を入れる。
居室にいながら事務所のPCを起動できる。これで、PCを起動してから事務所に向かえばPCが起動した状態で迎えてくれるわけだ。
Alexaは最近のアップデートでWoLに必要なMagicPacketを送信する機能が追加されたが、残念ながらPCの制御には(まだ)使えない。
そこで、IFTTTと外部サービスを連携させて対処する。
使用するのはPushBulletというプッシュ通知サービス。
IFTTTからPushBulletを叩いてメッセージを送信する。
送信したメッセージを、ファイルサーバとして稼働しているWindows Server 2012R2機で受け、受信をトリガーにWoLのMagicPacketを送信する。
メッセージの受信とWoLの実行にはEventGhostというプログラムを使う。
おそろしく迂遠に見えるが、一度構築に成功すると、居室にいながら音声コマンドで事務所のPCを起動できるようになる。
Alexaの使い勝手
Alexaを選んだのは元々FireTVがきっかけだったからだが、ウェイクワードがAlexaで済むのはいい。"Hey"とか"OK"とか前置きするのはどうかと思う。
音声認識の精度は悪くない。
説明は「アレクサ、○○を××して」と話し言葉で使用するようになっているが、単純な操作はコマンド風の命令でも受け付ける。
いちいち「アレクサ、灯りをつけて」と言わなくても、"Alexa, Light on."と命じれば済む。日常で使うコマンドなので、シンプルなほどよい。
一方で、特定の曲をかけるような場合は、「アレクサ、(アーティスト名)『の』(曲名)をかけて」と助詞を挟むようにしたほうが認識精度が高い。要は使い分け。
事務所では、スクリーン付きのEcho Spotを使っているが、これが実に便利。
対応曲を流せば歌詞も流れるし、ニュースは映像付きで見られる。WebCamとも連動できるので、いずれドアホン代わりに導入したい。
Amazon Primeに加入していればかなりの曲が聴き放題だが、Unlimitedを追加しないと聞けない曲もまた多く、悩ましいところ。
楽をするために苦労を厭わぬ人のためのIoT
「横着せずに直接スイッチ入れたら?」とか言っていたら、いつまで経っても未来は来ない。
とにかく楽がしたい。そのためには手段を選ばない。その強い意志がスマートハウスを作り出すのだ。
居ながらにして、家中の様々なデバイスを指一本動かすことなく操る。
構築が完了したとき、そこに21世紀の住環境が誕生することだろう。