Jun.07, 2006

ちょ…おま……(;´Д`)

[Diary]

今WBSを見ていたら、「今、消費者が高い金を払ってでも求めるのはアナログの職人技」とかで、セイコーが発表したというスプリングドライブ・ソヌリが出て来ていた。どんなものかと興味津々で見ていたら……

何 じ ゃ ぁ こ り ゃ ぁ (;´Д`)

ソヌリ機構、つまり正時に鐘を打つ機構が付いており、現代らしく途中で鳴るのを止めたり、3,6,9,12時には三回鳴らすモードを備えていたりと色々付加機能を持っているようで、その意味ではグランド・コンプリケーションと呼べるものではあるようなのですが。

しかし、その仕上げはとても頒価1575万円のものとは思えません。辛うじて面取りこそしてあるけど、そのヘアライン丸出しのブリッジはあんまりじゃないか?石の形も一部まっ平らな部分があってどうも安っぽい感がするし。

でもって、コレは調速機構にスプリングドライブが使われています。一言で言えば、「ゼンマイで発電機を回して得た電力で駆動するクォーツ」で、精度はクォーツ並に出るでしょうが、個人的には某ドイツ空母の「ディーゼルで発電機を回して得た電力で回したコンプレッサーで発生させた圧縮空気で動かしたカウンターウエイトによって動くところのエレベータ」並に訳の解らないシロモノに思えます。

テンプの動きも見えず、脱進機が時を刻む音さえ聞こえない機械式時計に一体どれほどの価値があるのか。一体何がしたいんだセイコー?と素朴な疑問が。電子的なものを持ち込んで性能を云々するならエコドライブ電波時計のGショックでええやん、と。その性能と耐久性は本物の戦争で実証されています。

唯一瞠目に値するのは、鈴の音を彷彿とさせるその涼やかな音色でしょうか。この音はすごく新鮮です。リング型のゴングを叩いて出す音色なのは同じでしょうが、ケースの形状や材質によっても音色が違うらしいので、色々試行錯誤があったのだろうな、と思います。

2006年のバーゼルで発表されたらしいので、現行の腕時計に詳しい方には何を今更、というような話かもしれませんが、そこはご勘弁を。

やっぱり私はアンティークが好きさっ、ということを再確認した次第。

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Comments

From :白苺。 : 2006年06月08日 08:46

ぐへへ。手厳しいですね。得意のお得意さん
社会的付き合い商売で限定数は捌けちゃうみたいで
実際には普通の人が目にする機会はウォッチフェア
ぐらいしかなさそうですね。43200振動時計もそうですが
私セイコーのそういう商売は大ッ嫌いです。
このソネリ時計、おっしゃる通りスプリングドライブで
どうも中途半端ですね。まだポルシェティガーの
エンジンで発電してモーターで動かすシステムの方が
萌えます。なんていうか真空管アンプの音をUSB
スピーカーで鳴らしちゃったような感じですね。
まだクレドールの手巻3代目は歯車を木屑で徹底的に
磨くなど萌えポイントも多く、また裏から見える地板も
デザインこそ穴ぼこぼこなど駄目ポイント多数ですが
磨きはGSと違って超美麗、等見どころも多いですが
これはそういう見どころも失っちゃってますね。
スプリングドライブは現物見るとヌーーーゥと動く
秒針が面白いといえば面白い(セイコー基地外は
そこを誉める)のですが、それって数百円の置き時計
や掛け時計では普通な動きですから、残念(藁
手巻クレドールは外装は欲しくなりましたが、手巻の
癖に最悪な手巻感に耐えられず買いませんでした。
セイコーその辺全然気を使わないですね。
ソネリもどうせならデュフォー以上のグランプチソネリ
リピーターでこの値段なら衝撃でしたが、IC制御の
ソネリですとお得意さん以外にはネタとしてしか
捉えられない予感ですね。まぁ久しぶりのセイコー
複雑時計と思えば、今後の発展に期待・・・でしょうか?
ソネリがリンじゃなくてお椀型の鐘を鳴らす所など
面白い所も多いのですが、あの造りならおっしゃる通り
スケルトンじゃなくて普通に蓋した方が絶賛だった
でしょうね。

私としてはどうせなら前にネタで出したスプリング
ドライブトゥールビヨンの方がいいです。
ICがケージの中でぐるぐる回ります(爆)
長文失礼しました。

From :PsyonG : 2006年06月08日 12:10

おぉ、識者のツッコミが(笑) 白苺さんこんにちは。

腕時計はEPOSのETAベースを一本買ったきりで、その後三ヶ月も経たずにアンティーク懐中に右旋回してしまったので良く解らないのですが。(^^; 的外れだったらお恥ずかしい限りです。

あの音色はリンではなくてベルだったのですか(WBSの映像ではハンマーが内側から外周付近を叩いていたように見えたのでリンかと思ってました)。何処に入ってたんだろう…と思ったら、確かにアレはかなりゴツいケースだったから大丈夫なのかな。いずれにしても、あれはいい音でした。

デュフォーのグランソヌリ・プチソヌリ・ミニッツリピータはブルネイ国王くらい金持ちになれたら是非欲しい(今でもオーダーはブルネイ国王が殆どなんだろか)んですが(笑)、現実にはシンプリシティでも無理です。orz 確かに、あれと向こうを張ってこのお値段なら衝撃ですね。それでも買えませんが。orz

スプリングドライブは、私にとってはおっしゃる通りの中途半端な印象がどうにも拭えません(スプリングドライブトゥールビヨンというネタは是非一度見てみたいものですが(笑))。まだモーター駆動をテンプで調速したほうが面白みが(w ポルシェティーゲルと云うと、某豚さん達の「例え第三帝国が世界を制覇しても、俺はもう金輪際ポルシェの車には乗らん!」という台詞が心を打った記憶があります(笑)。何にせよ、面白みという点では、ブローバのアキュトロンあたりの方がまだレトロ・フューチャーっぽくて好きですね。

頂いたコメントを見て初めて12ビートなんてものが出ていたのを知ったのですが、「『実用品の振動数としては』世界最高」、というウリはちょっと弱いように思います。68年段階の天文台コンクールでは15振動とか20振動とかやってた(実験だけなら50振動までやったという話も聞いたけど、どうなんだろ)そうなので、せめて15振動にして「天文台コンクールの栄光を貴方の腕に」とかいうキャッチコピーでも付ければよいのに、とか素人考えしてしまいます。それ以前に(スイスの政治的縛り価格に縛られない)トゥールビヨンでも出せばいいのに、とか。これも大人の事情を知らないので(笑)素人考えですが。

仕上げが良くて見所のある機械がないわけでもなさそうなので、セイコーだってやれば出来るのだとは思いますが、何か斜め上に行っちゃってるような感じがしますね(笑)。独立時計師ならいざ知らず、メーカーのプレゼンテーションウォッチで年五本なんていうのは、おっしゃる通り、商売として激しく何かが間違っているような気がします(パテックのスターキャリバーくらいまでやるなら、また話は別でしょうが…)。

From :WATERMAN : 2006年11月17日 00:39

高度な加工機械が使える現代に1500万もかけて何無駄なものを作ってるんだか、といったところですね。

セイコーの上の方にはテクノロジー至上主義者がいるんではないでしょうか。
本来、高級時計というジャンルは実用性や精度は二の次でよい。
ところがつい精度を求めてしまうのが貧乏性なのだと思います。ま、スプリングドライブが純粋に自社の技術なので上層部に妙なこだわりがあるのかも知れませんがね。

セイコーは一応トゥールビヨンの設計を特許に出しているので作れないことは無いはずなのですが。

参考までに。
http://www3.coara.or.jp/~tomoyaz/higaax01.html#031010
http://www3.coara.or.jp/~tomoyaz/higaax06.html#060707