May.12, 2006

ジャンルとかゲームシステムとか言う前に

[PlayByMail]

さて、実際に作るとして、何を作るか。では早速、畏友アイダスキーにネタ出しとゲームシステムを……

……いや、そうじゃなくて。

わざわざ「PBMとは」などという迂遠な話から始めたのは、ゆくゆくはこういう遊びを様々な人にも体験して貰い、マイナーではあっても趣味の一翼、アナログゲーム(ネット使うけど…)の一ジャンルとして定着して欲しいと思うがゆえです。昔語りと「夢よもう一度」な独り善がりで始めたところで先は見えていますし。

そこで私が必要だと思うのは、ジャンルやゲームシステムよりも低レベルを担う基盤システムです。アプリケーション・フレームワークと言い換えてもいい。

そこに載るジャンルやゲームシステムが何であれ、ゲームの本質は同じ。ならば車輪の再発明は避け、使い込みながら熟成させていく方が理に叶っています。元々割けるリソースが少ないのだから、好んで無駄を背負い込むのは愚かというもの。

では、そのフレームワークとは何をするシステムか。細かい要素を挙げ始めるとキリがないので、絶対に必要な要素を二つ挙げようと思います。

安全なコミュニケーション基盤

参加者同士のコミュニケーション、それによって構築されるコミュニティは、Communitale-RPGの核となる要素です。ゆえに、その安全性と利便性を両立させ得るシステムを提供する必要があります。

安全性とは、例えば個人情報を晒すことなく参加できること(ただし、これは無責任な匿名性を意味しない)であり、システム内でのトラブル対して明快・迅速に対処できることを指します。具体的には、アカウントによる認証とユーザーの制御、アカウントベースでのコミュニケーションツールの提供といった機能が考えられます。

より進んだ段階では、参加者自身による情報発信の枠組みを設けるなど、よりコミュニケーションを活性化するような機能を盛り込んで行くことになるでしょう。


統合マスタリング環境

血の通った人間の紡ぐ物語(Tale)の魅力は大きなアピールポイントの筈ですが、同時にアナログ処理の弱点である、品質や量(速度)が個人の力量や割けるリソースに依存するという宿痾を抱えることになります。

この弱点をカバーしつつメリットを享受するためには、「物語作成にあたり、余計な事で手を煩わさない」ことを徹底する必要があります。しかし、秘書役の人間を置くような余裕はないとなれば、システムがそれを担うのは当然の流れです。

そのためには、まず必要な情報を一元化し、統合的に扱えなければなりません。これによって、物語の作成(マスタリング)に関わる手間を大幅に抑制することが可能となります。むしろ、そうでもしないとやってられない筈です。

欲を言えば、アウトプットである文章の提出と配布をも包含して運営サイクルを完結させられる処まで持って行きたいのですが、これはひとまず次段階の話になるかと。


これらをフレームワークとして開発するには相応の苦労が伴いますが、本気で取り組むならば絶対に避けては通れない部分だと私は考えています。

もちろん、そこまでせずとも、各々の機能を実現することは可能です。認証付きのサイト内にコンテンツを設け、出来合いの掲示板スクリプトを置き、電子メールをぶん回すだけでも、それなりの事はできるでしょう。

しかし、それらはあくまでも個別の要素(機能)の集合体であり、それを纏めて運用するには人間の手が不可欠です。企画立ち上げ直前直後の有り余るモチベーションがあればそれもある程度こなせるでしょうが、まず最後まで続くものではありません。人間疲労もするし飽きもする。それがルーチンワークに近い割に煩雑な作業であるならなおの事。仮にそこを持ち堪えても、そこで喰われた分だけ本分である物語の作成にかけられるリソースが減少するわけで、それは質・量の低下に繋がりかねません。これを無視して立ち上げの高揚感を頼みにただ突撃するのでは、一体何処のドン・キホーテかジンギスカン作戦か。

企画を企画として回すためには、こうした後方支援やインフラとして機能するものが絶対に必要です。にも関わらず、先年雄々しく前のめりに倒産した某社にしてもそうした点はお寒い限りでしたし、この点を重視して運用された企画の例を私は知りません。

だからこそ、私はまずこの点から取り組んでいきたいと思うわけです。

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