Jun.15, 2007

顧客が本当に必要だったもの

[Diary]

…という諷刺画(?)がありまして、当時いたく感銘を受けたものです(こういうブラックなネタが好きなもので)。

それがちょっとしたwebサービスになっているようなので、早速俺バージョンを作ってみました。あんまり業界に馴染みのない方向けにちょっとした説明もつけてみたので参考までに(カッコ内は英語版でのキャプション)。

顧客が説明した要件(How the customer explained it)
「結局何がしたいんだ?」
冗長、欠落、自己撞着。顧客の説明が要領を得ないことは少なくないとはいえ、それ自体は大した問題ではありません。この段階できちんとした対処ができるなら。
…大抵の場合はこの段階でのボタンの掛け違えから悲劇の種が蒔かれる訳ですが。
つ[○○なんか飾りですよ]
営業あるいはコンサルタントの表現・約束(How the business consultant described it)
「景気の良いトークで薔薇色の未来を描きます」
人、それを画餅という。高い金取る割にはコンサルタントの価値ってのが何なのか、未だにさっぱり解らないのですが。
つ[タイミングとC調と無責任]
オープンソースに抱く幻想(The Open Source version)
「オープンソースってタダなんだろ?それにしよう!」
…で、誰がその面倒を見るの?
TCO (Total Cost of Ownership)という概念を勉強してください。
つ[タダより高いものはない]
プロジェクトリーダの理解(How the programmer wrote it)
「必要な要素は全て満たしています」
形式的には満足していても、根本的なところが抜けてます。
(原典と一部入れ替わってるけど、後2つとセットで考えるとこっちの方が収まりが良いので)
つ[頭の悪い働き者は銃殺にせよ]
プログラマの書いたコード(How the project leader understood it)
「仕様通りに作りました」
そもそも仕様がタコという話もあるけど……気付けよ。
つ[自分では判断しません!]
デバッグ後のコード(How the analyst designed it)
「動くようにしました」
指摘された問題を解消することが至上命題。後は野となれ山となれ。
つ[スパゲッティへの道]
ベータテスタ向けバージョン(What the beta testers received)
「何だこりゃ。吊れってのか!?」
ベータ版とかリリース候補とかいう言葉が時々ひどく空々しく聞こえることはありませんか……?
つ[オレオレ免罪符]
リリース時期(When it was delivered)
「当初の予定は年度明けだったよな!?」
まぁ、その……いろいろありまして。
つ[人生いろいろ!(逆ギレ)]
いざ稼動開始(What operations installed)
「いろんなモノが足りないと思うのですが……」
間に合わないのに稼働日が動かない時、しばしば「稼動開始時は最低限の機能のみ。順次バージョンアップ」と逃げを打つことがあります。そういう時は往々にして、その『最低限の機能』も満たしていない事が多いものです。
つ[先送りの先送り]
耐障害性(The disaster recover plan)
「貧弱!貧弱ゥゥゥゥゥ!!」
正常系のテストだって省略してるのにそんな事言われても。大抵の場合は問題ありません。
つ[マーフィーの法則]
高負荷時の挙動(How it performed under load)
「落ちました」
正常系のテストだって省(略)
正常系の眠りから覚めて華麗に羽化したバグが花を添えてます。
つ[やっぱりマーフィーの法則]
パッチの適用後(How patches were applied)
「これでセキュリティは万全です」
『セキュリティ』の名のもとに……。
つ[臭いものに蓋]
プロジェクトのドキュメント(How the project was documented)
「影はあっても形はなし」
モノを作るのが最優先ですから。
仮にドキュメントが存在していても、どうせ現行バージョンの内容は反映されていません。
つ[ドキュメントの価値は中身じゃなく枚数]
得られるサポート(How it was supported)
「該当バージョンのサポートは打ち切られました」
代わりにバージョンアップとか機能追加とかカスタマイズとかマイグレーションとか、如何ですか?
つ[オカネクダサイ]
顧客への請求金額(How the customer was billed)
「実は……」
1.「想定外の事態」による経費肥大
2.顧客に怒られて一旦引っ込める
3.やっぱりどうにもならなくなって泣き落とし
4.1にもどる
見積の甘さは棚に上げるのがポイント。
つ[まさに想定外]
COOLな広告(What marketing advertised)
「あの会社にかかれば、こんなにCOOLでスタイリッシュに!」
オマケ。
2ちゃんねる晒しAge(What the digg effect can do to your site)
「日本的な情景」
欧米ではdiggなんですねぇ。炎上ってオチは変わりませんが。なお、はてなブックマーク「これはひどい」という類型もあるようです。
顧客が本当に必要だったもの(What the customer really needed)
「やっぱり最後のオチはこれ」
最初からこれが判ってれば……。

ソフト開発(特に受託)の業界には特有の奇怪さがあります。何でこんな悪い冗談みたいなシロモノが横行しているのかというと、この業界が製造業でもサービス業でもなく土建業に範を取った産業構造を取っているからだと私は信じて疑っていません。

天下り受け入れたNTTデータが社会保険庁の案件を一兆円単位で取ってたりとか、一体何処の緑資源機構ですかと(笑)。

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