Feb.12, 2008

私の懐中時計ポーチ(最終章)

[アンティーク時計のある暮らし]

さて、ほぼ二年越しでついに企画制作を実現致しました懐中時計用ベルトポーチ。応援頂きました皆様のお手元にも行き渡りまして、まずは成功裏に終えることができました。まずは重ねて皆様にお礼申し上げます。

さて、本日はオマケとして、この企画と平行して個人的に暖めていたアイディアを実現することができましたので、手前味噌ながらこれをお送りしたいと思います。

規正不要、電源不要、ほぼメンテナンスフリーの電波腕時計やら一山いくらのクォーツ時計が氾濫する中、敢えて(アンティークの)懐中時計を選ぶからには、それらが自分にとって「特別なもの」であるという意識を持たれている方は多いと思います。その昔の人々がそうであったように、その「特別」に人生の節目を重ね合わせ、これとともに歩む。まさに計時装置の枠に留まらないタイムピースの面目躍如たる一面です。

今回の懐中時計ポーチは実用性を最優先に設計したものではありますが、同時に永らく使い込んで行くに足るだけの造りにもなっています。これにさらに一手間加え、この世に一つ、自分だけの記念品として完成させるというのが私にとっての最終目標でありました。

私とともにアンティーク懐中の世界に足相次いで足を踏み入れた旧友達は、今年で実に18年越し、人生の半分以上の付き合いをもつ面々です。まぁ今はすっかり違う世界に逝ってしまったのでw、一頃ほどの付き合いではありませんが、友情の記念として、かつて我々が出会ったきっかけを題材に記念品としてデザインすることにしました。

依頼したのは、Ken's Shopの親方と罠兎のお姐さん。こうした一品モノの制作の相談に乗ってくれる場所に縁があったのはまさに僥倖。ただ、実体化して頂くにしても最初のデザインだけは自分で起こさねばなりません。自分のデザインセンスというものには全然信用が置けないのですが、サプライズで渡したい記念品だったので相談する相手がいない。orz 頭を抱えながらも、とにかく自分でやってみることにしました。

130stUnabGw.jpg
昔使っていたシンボルマーク。ただし独語は適当に和独引いただけなのでかなりいい加減。

原案はこれ。かつて昔のゲームで我々が冠していた部隊のエンブレムです(元ネタ何だったかなぁ。SSノルトラント師団の部隊章だっけ?軍オタではないのでイマイチよく分からん)。これをアレンジして銘板とし、ポーチに取り付けようという皮算用。ただし、レーザーマーカにデータ投入してハイお終い、という作り方ではないので、文字などあまり細かく詰め込み過ぎるわけにもいきません。

フラクトゥーアを持つブラックレターはサイズとの兼ね合いで断念せざるを得ず、また、全体のバランスを考えるとただのアラビア数字はいかにも浮いて見える。……等々、様々な懸案を片付けながら出来上がったデザイン案がこれ。

emblem.jpg
紆余曲折の末に作ったデザイン案。

エンブレムを紋章仕立てにアレンジしたものですが、あくまでも紋章「風」であり、紋章学的なルールに則っているわけではありませんので、そっち方面からツッコミは聞きませんw。ポーランド風のシールドに部隊章を据え、ナンバーはローマ数字表記。部隊名入りのリボンを重ねつつ、シールドの左肩に持ち主のイニシャルを入れています。三人分で都合三種。

これを基にシルバーのプレートを制作した上で、ベルトポーチに取り付けて頂きました。実物になるとまた雰囲気が変わって見えます。


完成品。一度に全て上がったわけではないので全部並べて撮れなかった。
取り付け部分裏側の仕上げ。こんな部分まで全部銀で手造りという徹底ぶり。

記念品仕立てとはいっても棚に飾るためのアレンジではないので、造りの方も気合が入っています。プレート自体も1.5mmの肉厚なものからなっていますが、取り付け方も単なる接着剤や両面テープではなく、プレートにネジを切った銀製の脚を埋め込み(!)ポーチの蓋を貫いてこれまた銀製のナットで留める(その上で接着を併用)という手の込みよう。最後はナットの面取りまでやって実用上の問題が生じないよう仕上げています。

それなりの費用はかかっていますが、これだけの事をやって戴いたと思えば随分良心的だったなぁと思います。

かくして、友情の記念品として完成した私のオリジナル懐中時計ポーチ制作計画はこれにて完了となりました。

皆様の手元に届いた一品もまた、皆様一人一人だけのものとして、永らく御愛用頂ければこれに勝る喜びはありません。

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