Jul.29, 2008

ちょっとハゲに魂売ってきた

[Diary]

実は先週買っちまってたんだよなぁ、禿iPhone。

現時点では、まだ欲しいと思ってふらりと出かけて買ってくるには多少のツキが必要な代物ではある。だからと云って自慢になる訳でもないが、いろいろ耳目を集めているデバイスではあり、ここでインプレッションを記しておくのも悪くなかろうと思う。

ただ、一応の前提として、私がどのような立場からこれを見ているかは明らかにしておいた方がいいだろう。立場によって印象などというものはどうとでも変化するので、そのバイアス具合は読み手各自で補正して欲しい。

最近まで移動体通信はPHS一本槍
PHSの使用歴は10年超。NTTPersonalから始まり、サービス終了が見えた段階でZERO-3を目当てにwillcomに移行。端末遍歴が203S→321S→611S→633S→WS003SH→WS009KE(WS003SHと並行)となっている。データ通信とPCとの親和性、コストパフォーマンスを重視するのが基本姿勢。携帯電話は初期のコストパフォーマンスの悪さとデータ通信の貧弱さ、後にはキャリアの囲い込み姿勢から長じたガラパゴス的な振る舞いと「ケータイ」文化への猛烈な嫌悪感から、洟も引っかけないで華麗にスルーし続けている。…のだが、流石にPHSのデータレートの低さに我慢が出来なくなり、EMOBILEのD02HWを導入した。
Macの使用経験皆無
最近でこそintelMac+bootcamp&parallels/fusionによる多重OS環境にかなり食指を動かしてはいるものの、それ以前のMacというのは私にとって完全に異世界の代物。デザイン以外の作り込みの甘さからくる様々な問題やコストパフォーマンスの悪さといった(私にとっては致命的な)諸問題をものともしないユーザーの熱狂ぶりは完全に私の理解の外で、エバンジェリストなどという階梯まで設けられるに至り、私の熱狂的マカーに対する印象は新興カルト宗教の信者に対するそれとなっていた。ゆえに、私にはAppleに対する忠誠心などは存在しないが、さほど強硬なアンチでもない。例えば、iPodにはiTunesがWindowsに対応する前から手を出していたりもする。
SBは好きじゃない
Appleよりよほど胡散臭く思っているのがSB関連。最大限好意的に見ればまあエネルギッシュとも言えなくもなかろうが、虚勢と紙一重の危なっかしいアグレッシブさと公取委とチキンレースでもやってるのかと疑いたくなるような口八丁から、とにかくやり口がアコギで行儀が悪いという印象がある。黎明期のADSLサービスに関わる数多のトラブルなどはその一例。

さて、ではそんな私が今回iPhoneを買ってやろうと思い立った理由は何か?

端的に言えばこの三点への期待に集約される。

  • ビューアとしての素性
  • 3Gのデータ通信能力
  • ソフトウェアとサービスの組み合わせによる機能拡張の可能性

既にShuffleもNanoも所持している身にとってiPod機能は絶対的な要素ではないが、動画ビューアとしての可能性には多少期待してもいる。電話機能はまあオマケ。どのみち通話の主役(と次世代PHSへの布石)はPHSが担うので、普通に通話ができればそれで充分。

つまるところ、私はPDAの類型としてこのデバイスを捉えていおり、端から「ケータイ」などとは考えていない。よって、デコメールだの何だの、その必要性について想像したこともないようなガラパゴス的機能の有無など最初から問題にしていない。唯一の関心事はコストパフォーマンスだが、複雑怪奇な但し書きと契約プランの悪魔合体によって「実質負担金」を少なく見せるという手口に敢えて乗ることでこれを許容した。つまり26ヶ月越しの投資ということになる。

では、いよいよ購入を決断したところでその実態に基づく印象など綴っていこう。

モノ不足というハードル

Appleのお家芸ともいうべき秘密主義とSBのアコギな商売が悪魔合体し、双方の煽り体質のコラボレーションによって産み落とされた発売日近辺の馬鹿騒ぎ。まさに踊る阿呆に見る阿呆といったところで、迷惑千万としか云いようがない。

旗艦店だけ先行販売という程度ならプレミアイベントとしてアリかなとは思うし、初日だけで全ての購入希望者を捌ききれないこともまた事実だろうからそれ自体は仕方ない。しかし、以後の入荷状況のアナウンスや購入希望者の整理など、混乱を回避し、効率的にプロダクトを立ち上げていこうという施策がまるで打たれていない。煽るだけ煽って他人のマスかき手伝う外交儀礼のかけらもない奴((c)ハートマン軍曹)。しっかり見張って二回目の入荷タイミングをピンポイントで狙い撃ちすることで入手には成功したが、購入以前にこんな馬鹿騒ぎを乗り切らなければならないのではたまったものではない。

「馬鹿騒ぎが収まって、買いたいときに一切の制限なしに買えるようになるのを待つ」という判断をされる人がいるなら、私はその判断を是として尊重したい。

何のことはない。私は結局物欲に負けたのだw

契約にあたってのあれこれ

特殊なデバイスなので契約も特殊。まあこれに興味を持って下調べをするような人間であれば(逆に言うと、その程度のこともせずにイメージだけで飛びつくような莫迦はかなりの確率で後悔する目に遭うだろう)、大体把握しているであろうことなのでいちいちここでは細かく述べない。店によってはインセンティブ目当てで特定の契約プランを強要してくる例もあるようだがゴネるか諦めるかは各自の判断で。

ただし、使用料の大半を占めるパケット定額について日割りが適用されないという点は知っておくべきだろう。契約日が末日であってもばっちり一月分の定額料金が課金される。まあ頭打ち従量にしたところで動画の一本も見てしまえば即座に上限まで突き抜けるような代物ではあるが。これを嫌って月替わりを待つか、モノ不足の弱みからご祝儀代わりの投げ銭と腹をくくるかは各自の気の持ちようだ。私は諦めて契約した。業腹だが。

何のことはない。私は結局物欲に(ry

最近は下四桁なら番号が選べるらしい。とっさに思いつかなかったからテキトーな番号にしてしまったが、折角だからネタ番号にでもしておくんだった。8492とか、0072とか。くっ

受け取ってみた

販売マニュアルには産婆よろしく「『本体を』手渡しせよ」とあったりするようだが、私はこの手のデバイスには何をおいても真っ先に液晶にフィルムを貼るタイプの人間なので箱に戻してもらったw

演出やデザインはさて置いておいても、パッケージがシンプルなのはまとこに結構。この辺のセンスがいいというのは認める。しかし、林檎シールは要らんし、FingerTipsなるペーパーはまるで役に立たない。150ページくらいの正規マニュアルはPDFファイルとしてメーカーサイトからダウンロードすることができるのだが、折角ペーパーを付けるならせめてタッチパネルの操作法(Flick,Pinchなどの独特の操作)やリセットの方法(それでなくてもよく死ぬんだから)くらいは載せておくべきだ。

本体の保護

「実質負担金」のマジックで誤魔化してはいるが、iPhoneの実売価格はヘタなULPCより高く、ぶっ壊すと6万オーバーの打撃を受ける。さすがにそいつはご勘弁なので、本体の保護にはよくよく気を遣うべきだと思う。この手のアクセサリは量販店に潤沢に出回っているので活用しよう。

タッチパネルにはMiyavixのOverLay Plusを貼った。アンチグレア仕様だが見え辛いということはなく、素手でタッチしても指紋が目立ちにくい。光沢仕様のBrilliantもあるので好みで選ぶといいだろう。

この手の保護シートにも色々あるが、画面の大きいデバイスに安物を使うのはオススメできない。貼る時からして気泡を含み倒したり、貼ったら貼ったでレインボーノイズかと思うような滲みを出してみたり、ちょっとスタイラスを使うだけで傷だらけになってすぐ張り替える羽目になってみたりする。

iPhone用のシートの場合、上部スピーカとホームボタンの部分がくり抜かれている。貼る場合は上部スピーカの穴を基準にするといいだろう。ホームボタンは円形なので、穴の中心だけ合わせてもシート全体の角度が合っていないことがある。本体が縦長なので、この辺がいい加減だとシートが斜めになってしまってよろしくない。

あと、個人的にはシリコンジャケットの装備を推奨。本体にはないストラップホールが追加できるし、滑り止めにもなる。落とすと洒落にならないデバイスには合理的な装備だと思うし、レザーケースは取り回しをスポイルし過ぎる。

シャツにポケットがあればストラップだけで充分携帯できるが、時節柄そうでない服装でいることも多いので、レザーのベルトポーチを追加で購入。敢えて専用品ではなくアジャスタブルな汎用品を選び、シリコンジャケットを着けたまま収納するのがミソ。ネックストラップは当然スナップで分離できるタイプで、状況に応じて最適配置ができるようにする。

あと一応Dockコネクタにカバーを付けてみたが、あっという間に一個無くした。orz

使ってみる(Webブラウズ)

調子が良い時は実に快適。タッチスクロールとピンチ、フリックといった動作の組み合わせでほぼダイレクト・無段階に近い感覚で表示をコントロールできるため、画面の実サイズよりもはるかに快適にブラウズすることができる。加速度センサーによってダイレクトに縦横を変更できるのも、いちいちボタンを押して切り替えていたZERO-3時代からすると大いなる飛躍。

3G通信の速度も通常のブラウズならさほどストレスを感じることはないし、ブラウザの表示能力もかなりPC寄りになっていてレイアウト崩れなどに出くわすことも少ない。Flashが使えないというのが画竜点睛を欠いているが、要望が多かったら対応するんだろうか?

その一方で、データの送信が絡むと雲行きが怪しくなる。フォームにデータを入力している間に一度でも通信を切ると、繋ぎ直して送信しても大抵処理に失敗する。何かセッションの維持がマトモにできていない感じ。また、一見ページの内容を保持しているように見えても切り替え画面のイメージはタダのスナップショットか何かのようで、一度通信を切ってから切り替えるとページの読み直しになるのがちと鬱陶しい。

あと、お世辞にも動作が安定しているとは言えず、よく死んでは何食わぬ顔でホーム画面に戻ってみたりする。

使ってみる(メール)

GMailに対応しているので、GMailを軸に手持ちのアカウントを再編成、通知用にSBアドレスに転送。これで特に問題なく使えるが、入力インターフェースの限界からあまり長文の送信をしようとは思わない。メールアプリにGMailのIMAPを設定してもいいし、SafariからGMailのWebインターフェースを使ってもいいだろう。Safariはよく死ぬのでメールを書くならメールアプリの方が無難な気はするが。

…ところでGMail上での送信アカウント切り替えがiPhoneでは出来てないような気が。…何か設定見落としてるのかな。

使ってみる(iPod)

普通にiPod。画面の情報量、操作性ともに優れており、選曲が非常に楽。今までアートワークを登録していなかったことをこれほど後悔した事はない。音質にも難はなく、よほどのオーディオマニアでもなければ問題は感じないだろう。音楽を聴いていてもイベントが起こった時にはフェードして割り込んでくれるのが便利だし、停止・再生と曲送りだけとはいえマイクスイッチで操作できるのはかなり便利。ただ、このマイクスイッチ付きの純正イヤホンがしょぼい代物で、左だけぽろぽろ耳からこぼれ落ちる。意外なことに、これだけ関連アクセサリが溢れている割にはマイクスイッチ互換機能を持つサードパーティのイヤホンがほとんどない。うーむ。

曲を聴きながらWebブラウズやメール操作等も可能だが、これをやるとSafariの死亡率が体感で五割増しから倍くらいになる印象がある。

使ってみる(入力インターフェース)

一般人より大きいと評判の私の手でも頑張ればフルキーボードで片手操作ができる。ミスタッチの存在を前提にした訂正動作がインプリメントされているお陰だが、後述のような諸刃の剣でもあり。あと、「できる」と「快適」は別問題で、指の移動量が大きいので無理に片手操作にこだわるようなものでもない。

新機軸のテンキー型日本語キーボード+フリックというのは面白いし、実用性もある。ただし、レスポンスがもっと軽快ならば、という条件付き。さすがに入力の最中にハングアップを疑うほど遅くては意味がない。

とはいえ、脳内で日本語をローマ字に変換できない(余談だが、少女マンガ風の演出で吹き出しの中身がみっちりローマ字になってる奴、あれは何かの呪いか嫌がらせだと信じていた時期があった)私にとって、こいつはSigmarionIIIのカナ打ち以来のヒットになる可能性を秘めている。今後の改良に期待。

その一方で、英文のスペル補完はわりと鬼門。「英語を」打つならば便利ではあるが、メールアドレスやアカウント名などの入力時にはありがた迷惑以外の何物でもない。SB提供の"i.softbank.jp"の"i"を打つのに、何をやっても勝手に大文字の"I"に「訂正」しやがるあまりのタコさ加減はMS-WORDのオートコレクトと比べても丙丁付けがたいシロモノで、キレそうになったのも一度や二度ではない。

使ってみる(GPS)

電車の中で位置情報が拾えない、拾ったところで精度イマイチと、ウォーキングナビには程遠い感じがする。ボタン一発で「このあたり」が出せるのは悪くはないがもう少し精度が欲しかったところ。検索と組み合わせてとか複雑な使い方はしていないので、もしかすると今後化ける可能性もある?

使ってみる(動作時間)

休日、郊外から都内に向けて電車で移動すること一時間強。その間iPod機能を使いつつメールチェックとブラウズ。日中人と会ってる合間にちょくちょくデータ通信。夜また音楽聞きながらブラウズしつつ電車で帰還。この程度の使い方でバッテリ消費は三割程度。

一日中ヘビーに使い倒せばさすがに心許ないが、どうしてもというならUSBに5V供給できる二次電池でも持っていれば保険になるだろう。私もZERO-3用にそうした二次電池を持っていたのだが、元々の容量が大したことない上に劣化もしているようなので必要なら新調しようかとも考えている。

他にもまだ手を付けていない機能やサービスが山ほどあるが、とりあえずはこんなところ。

今後のToDo。

  • 動画をビュー
  • Twitter運用してみようかなぁ
  • AppStoreでクールなソフトを見つける
  • MobileMeを試す(母艦新調に合わせようかとも思うのでちょっと先)
  • 電話をしてみる(実はまだ一度も音声通話をしていないwww)

最後に、ここまで触ってみて感じたことをまとめておく。

今までにはなかったタイプの新しいデバイスではあるが、見た目の綺麗さとは裏腹にまだまだ「粗い」モノであるのもまた事実。既存のデバイスとは一線を画する便利さを持つ反面、妙な欠点も少なくない。

「ケータイ」が大嫌いな私は、だからこそこれを買った訳ではあるが、これもまたAppleという一メーカーにがっちり囲い込まれたデバイスであり、生殺与奪を一手に握られてしまっているというのもまた事実。そのせいでFlashやMozillaなどが使えそうにない(らしい)など、一抹の不安もよぎる。

これが奇跡だ革命だとはやし立てているアルファな感じの記事も散見するが、本当に必要なのは浮ついたバズワードを撒き散らして狂騒することなどではなく、地道な改良を徹底的に続けてこのデバイスを「完成」させる流れを作っていくことじゃないかなぁ、と思う。Newtonの再来とかいっても末路まで同じでは困るし。

今のところ、夢や可能性を感じさせてくれるものであることは間違いないと思うのだが、さて、これからどうなりますやら。

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